仏壇に供える水はどうやって供えたらいい?水を供える意味や水以外のお供えものについても解説
仏壇に供えるべきものとして「五供」というものがあり、そのうちの1つが水です。
では、仏壇に供える水はどのようにして供えればいいのでしょうか。
今回は、仏壇に供える水について解説します。
目次
仏壇に水を供える意味
仏壇には水をお供えしますが、それにはどのような意味があるのでしょうか。
以下で詳しく見ていきましょう。
浄土を表す
透明で綺麗な水は、「穢れのない浄土」そのものを表すと言われています。
浄土とは、人間が苦しいと感じる原因である煩悩がない仏の国です。
仏教では、人は死後、その浄土へ導かれると考えられています。
そのため、仏壇の水は、煩悩で溢れ穢れている現世との線引きのためにも必要なのです。
身を清める
水は昔から、身を清めるためのアイテムとして使用されてきました。
お寺や神社で手や口を水で洗ってからお参りするのも、そのためです。
仏壇に水を供えると心身が清まり、心静かにご先祖様や仏様に向かうことができます。
極楽浄土に「渇き」はない
極楽浄土に「渇き」の概念は存在しないため、仏壇に供える水は、ご先祖様や仏様の喉の渇きを潤すものではありません。
お供えの水は、現世に残っている遺族が身を清めるためや、綺麗な水を飲めていることへの感謝を表すために供えられます。
仏壇の水の供え方
仏壇に水を供える際には、いくつかの決まりがあります。
以下で詳しく見ていきましょう。
水を供える容器
仏壇に水を供える際は、仏具の1つである「茶湯器」を使用するのが一般的です。
昔の茶湯器は蓋付きが主流でしたが、現在では蓋なしも登場しており、素材も金属製や陶磁器、ガラス製などバラエティー豊かです。
故人が生前に愛用していたグラスやコップがある場合、それを使用しても問題ありません。
お茶を供えてもいい?
結論から言うと、お茶を供えてもマナー違反ではありません。
お茶は水と同様に、人を清める効果があると言われています。
また、水とお茶は一緒に供えてもよいとされており、両方供える場合には水を西側、お茶を東側に置きます。
ただし、水やお茶の代わりにジュースやお酒を供えるのは避けましょう。
故人が生前に好きだった飲みものを供えたい場合は、水やお茶と一緒に供えます。
水を供える場所
水を供える場所は、仏壇の中段です。
水とお茶の両方を供える場合には、仏壇の1番下の段を使用します。
仏壇の上段は、仏像やお坊さんの掛軸などが置かれる場所であるため、避けるのが無難です。
水を替えるタイミング
お供えの水は毎日取り替えるのが理想です。
朝にお供えした水をその日の夕方や夜に下げ、翌朝に新しい水を供えます。
また、仏壇から下げた水は神のパワーが宿った水になると考えられています。
そのため、下げた水はそのまま流しに捨てるのではなく、ご飯を炊くときに使用したり植木にかけたりするのがおすすめです。
宗派による違いについて
仏教は、天台宗や真言宗、融通念仏宗、浄土宗など13の宗派に分類されます。
水やお茶を入れる容器は、宗派による違いが出やすいポイントの一つです。
水やお茶は茶湯器に入れてお供えすると先述しましたが、浄土真宗では茶湯器ではなく「華瓶(けびょう)」が使用されます。
浄土真宗で華瓶が使用される理由は、「お供えする水は香りを捧げるために使うもの」と考えられているためです。
水の種類
お供えする水は、水道水やペットボトルに入った水で問題ありません。
特にペットボトルに入っている水は、甘・冷・軟・軽・清浄・不臭・飲みやすさ・安全の8つの功徳が備わった、極楽浄土にある八功徳水(はっくどくすい)に近いと考えられており、お供えに最適です。
水以外のお供えものについて
仏壇には水のほか、以下で紹介する4つを一緒に供える必要があり、すべて合わせて「五供(ごくう)」と呼ばれます。
それぞれの特徴や供え方について詳しく見ていきましょう。
お香
お香は、香りを召し上がると言われている仏様に捧げるものです。
お香の煙は、死後の世界と現世を結ぶためのものであるという解釈もあります。
お香は最後に供え、りんを鳴らして手を合わせましょう。
ろうそく
ろうそくの火には、死後の世界と現世をつなぐ役割があり、ご先祖様が道に迷わずに現世に帰って来られるようにと道を示すとされています。
火を灯すタイミングは、水やお仏飯をお供えした後です。
ろうそくの火は常時灯しておくことで供養につながるとされていますが、火災防止の観点から、お参りが終わったらすぐに消すようにしましょう。
現在では、電気式のろうそくも登場しており、代用しても問題ありません。
花
花は故人を偲ぶために供えられるアイテムで、黄色や白の花がよく選ばれます。
故人が好きであった花や、季節の花を供えても問題ありません。
ただし、鋭いトゲの付いているバラやアザミなどの花を飾る際は注意が必要です。
トゲは故人や先祖に痛みを与えてしまう恐れがあるため、トゲをすべて取り除いてから仏壇に飾るようにしましょう。
ご飯
ご飯は、不満なくご飯を食べられている感謝を、故人やご先祖様に伝えるためにお供えします。
毎朝、炊きたての白いご飯を仏飯器に乗せてお供えするのが一般的です。
宗派によって多少盛り付け方が異なりますが、厳密な決まりはありません。
まとめ
仏壇の水は、お参り前に身を清めるためや、綺麗な水を飲めていることへの感謝を表すために供えられます。
極楽浄土には渇きの概念が存在しないため、故人やご先祖様の喉の渇きを潤す意味はありません。
水の代わりにお茶を供えても問題なく、水やお茶はお香やろうそく、花、ご飯と一緒のタイミングで供えます。
お供えものは毎日新しいものに取り替え、故人やご先祖様を偲ぶ時間を大切にしましょう。