知人や友人のご家族が亡くなられた場合、仏壇にお参りをしにいく方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その際は、香典やお供えものを用意しなければなりません。
今回は仏壇にお参りに行く際のマナーのほか、仏壇が自宅にある方向けに日常的なお参りの仕方について解説します。
目次
日常的な仏壇のお参りの仕方
まずは日常的な仏壇のお参りの作法を紹介します。
仏壇への拝み方
宗派によって細かい違いはありますが、基本的な流れは同じです。
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お参りするタイミング
仏壇のお参りは朝と就寝前の2度行い、日中は仏壇の掃除などをするのが一般的です。
朝のお参り
朝は身支度を済ませてから仏壇のお参りをします。
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就寝前のお参り
就寝前には1日の感謝を伝えます。
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知人や友人の家の仏壇にお参りに行く際のマナーと流れ
ここでは、知人や友人の家の仏壇にお参りに行く際のマナーと流れについて紹介します。
①まずはお参りに行く旨を連絡する
当然ですが、突然訪問しても留守だったり、他の予定があったりする場合もあるため、突然伺うのは失礼です。
仏壇にお参りしに伺いたい場合は、まずは遺族に相談して訪問する日時を決めましょう。
②お悔やみの挨拶をする
当時、玄関に招き入れられた際には、遺族へお悔やみの挨拶をします。
一般的には「この度はご愁傷様でございます」などの挨拶がありますが、定型文以外にも遺族を気遣うような言葉や、故人との関係性も伝えるとよいでしょう。
③仏壇の前に座りお供えものを渡す
「お線香をあげさせてください」と伝えてから仏壇の前に座り、香典やお供えものを持参した場合は、自分で直接お供えします。
理由は、故人のために持参したものを遺族に渡すことは失礼にあたるためです。
ただし、香典など直接お供えするのが心配であれば「お供えものはどちらに置けばよろしいですか?」などと確認すると、遺族への配慮にもなるでしょう。
また、お供えものを仏壇に置く際は、自分から見て文字が読める向きにお供えものを置き、その上に香典を乗せます。
④お参りをする
お供えものを供えたら、仏壇にお参りをします。
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香炉に立てる線香の数や唱える念仏は宗派によって異なりますが、基本的にはご自身の宗派に応じたお参りの作法で問題ありません。
また、焼香が設けられている場合は、焼香を優先して行います。
仏壇にお参りに行く際の服装や持ちものについて
次に、仏壇にお参りに行く際の服装や持ちものについてのマナーを紹介します。
仏壇にお参りに行く際の服装
葬儀や法事とは異なり、故人の自宅の仏壇にお参りに行く際には普段着でも問題ありません。
ただし「普段着」とは言え、Tシャツにデニムなどカジュアルすぎる服装や華美な服装、肌の露出が多いものはお参りに不適切です。
落ち着いた色合いで、肌の露出が少ない服装でお参りに伺いましょう。
もし、故人や遺族との関係性でフォーマルにしたい場合は、お通夜の平服のように、黒やダークグレー系などのシックな色合いの服装がおすすめです。
数珠
仏壇にお参りに行くときにも、自分の数珠を持っていきましょう。
数珠は持ち主のお守りでもあるため、貸し借りは避けるのがマナーです。
数珠は男女で異なり、各宗派の「本式数珠」と、宗派に関係なく使える「略式数珠」があります。
宗派によって色も形も違ってくるため、宗派に関係なく使える「略式数珠」を持っていくのが無難です。
仏壇にお参りに行く際の香典について
仏壇にお参りに行く際の香典は、ご自身の年齢や故人・遺族との関係性によって金額が異なります。
香典の相場は?
香典の相場は下記の通りです。
金額 | |
故人が友人・知人 | 5,000~1万円 |
故人が友人・知人の家族 | 3,000~1万円 |
故人が恩師や近所の人 | 3,000~1万円 |
故人が上司や上司の家族・同僚 | 5,000~1万円 |
故人が同僚の家族 | 3,000~1万円 |
故人が友人・知人の場合は、生前の関係性の深さで金額を決めます。
故人が職場関係の場合は、会社名義や連名で出す場合もあるため、職場に確認しましょう。
水引について
香典を入れる不祝儀袋は水引の結び方が「結び切り」や「淡路結び」で、水引の色は「黒白・双銀・紫銀・黄白」のものを使います。
水引の結び方の中でも「蝶結び」の水引は、お祝い事や一般贈答に使うものです。
弔事の場面で使用すると「不幸を重ねる」などを連想させてしまうので、注意しましょう。
香典の表書きについて
香典の表書きは「不祝儀袋の水引の上中央」に書きます。
一般的な表書きの内容は下記の通りです。
ペンの種類 | 内容 | |
四十九日前 | 薄墨の筆ペン | 御霊前 |
四十九日の忌明け後 | 濃墨の筆ペン | 御仏前・御香典 |
ただし、浄土真宗の場合は四十九日前でも「御仏前」と書くなど宗派によっても異なるため、宗派がわからない場合は宗派を問わず使える「御霊前」と書いておきましょう。
また、水引の下中央には、表書きのより小さい文字で自分の名前を記入します。
中袋の書き方について
香典を中袋に入れたら、中袋の表面に漢数字を使って縦書きで金額を書きます。
中袋の裏面には、自分の郵便番号・住所・名前を忘れずに記入しましょう。
記入の際は薄墨の筆ペンではなく、普通のボールペンで問題ありません。
渡し方について
香典は袱紗(ふくさ)に包んで持っていくのがマナーです。
袱紗は弔事用の紺・グレー・紫など、地味な色のものを使いましょう。
香典を仏壇に供える場合は、自分から見て文字が読める向きにお供えします。
もし、お供えする場所が見当たらないときには、遺族に 「どちらに香典をお供えすればよいですか?」と尋ねてみてください。
「こちらで受け取ります」などと返答された場合は、文字が相手から読める向きにして渡します。
仏壇にお参りに行く際のお供えものについて
仏壇にお参りに行く際におすすめのお供えものや、渡す際のマナーについて紹介します。
お供えものとして喜ばれるものとは?
お供えものには日持ちがするお菓子や季節の果物、線香、ロウソクなどの消耗品が喜ばれます。
さらに、お供えものの相場は一般的に3,000~5,000円程です。
あまり高価なお供えものを持参すると遺族に気を遣わせてしまうため、相場内に抑えるようにしましょう。
お供えものに避けるべきものは?
仏壇にお参りに行く際には、避けるべきお供えものもあります。
具体的には、おめでたい場面で使われる昆布やかつおぶし、お酒類、日持ちがしない生菓子などです。
たとえ生前お酒が好きだった場合でも、お酒は仏教的な供養にはお供えできません。
理由は、戒名をもらって受戒した以上は不飲酒戒であるべきだとされているためです。
ただし、三十三回忌を済ませると位牌を仏壇から出してもよいため、お酒もあげてもよいとされています。
お供えものを渡す際のマナー
お供えものを包む包装紙は派手な色や柄のものは避け「のし紙」を付けます。
のしには「外のし」「内のし」がありますが、仏壇にお参りに行く際には誰からのお供えものかがひと目でわかる「外のし」を選ぶのが一般的です。
のし紙には「表書き」として用途と差出人の名前を記入します。
表書きや水引は「四十九日の忌明け前」と「四十九日の忌明け後」で変わるので、注意しましょう。
「四十九日の忌明け前」の表書きや水引の作法
表書き(のし紙上段) | 薄墨の筆ペンで「御霊前」または「御供物」と記入する |
表書き(のし紙下段) | 自分の名前を記入する |
水引 | 黒白で「結び切り」か「淡路結び」のものを使用する |
水引の作法は地域によって異なる可能性があります。
必要であればお店でお供えものを購入する際に、「四十九日の忌明け前」のお参りであることを伝えましょう。
「四十九日の忌明け後」の表書きや水引の作法
表書き(のし紙上段) | 「御仏前」または「御供物」と記入する(薄墨の筆ペンを使う必要はない) |
表書き(のし紙下段) | 自分の名前を記入する |
水引 | 「結び切り」の水引で、水引の色は関東なら黒白か双銀、関西は黄白 |
地域によって水引の色が異なる点に注意しましょう。
まとめ
知人や友人の家の仏壇にお参りに行く際には、まずは遺族に相談して訪問する日時を決めましょう。
お参りは落ち着いた色合いの服装で、数珠・香典・お供えものを持参するのがマナーです。
香典やお供えものにも、宗派や仏壇にお参りに行く時期によって細かい違いがあります。
ぜひこの記事を参考に宗派に合った作法でお参りしてください。