浄土真宗の仏壇や仏具はどんなものを選べばいい?飾り方やお供えの仕方は?それぞれ詳しく紹介します

浄土真宗 仏壇 アイキャッチ

浄土真宗は日本の仏教の中でも最大の宗派です。

浄土真宗の仏壇にはいくつかの特徴があるため、家の宗派が浄土真宗だという方は、仏壇を購入する際に本記事をぜひ参考にしてみてください。

今回は、浄土真宗の仏壇について紹介します。

浄土真宗の供養には仏壇が必要です

浄土真宗の供養

浄土真宗を信仰する人の中には、「浄土真宗は仏壇を必要としない」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。

しかしそれは誤りで、どの宗派であっても仏壇を置く必要があります。

では、なぜこのような話が聞こえてくるのでしょうか。

それは、浄土真宗の教えの中に「人は仏様の導きにより、浄土に往生し仏となる」という考えがあるためです。

簡単に言うと、浄土真宗のご本尊である「阿弥陀如来」を信仰する人は、誰もが亡くなってすぐに仏になれることを約束されているという考えです。

しかしこれは、仏壇が必要ないという意味ではありません。

仏壇にはご先祖様や故人を供養する「家の小さなお寺」としての大切な役割があり、浄土真宗の信仰にも仏壇が必要です。

実際に浄土真宗で必要ないと考えられているのは「位牌」です。

位牌は故人の魂が宿るものとされていますが、すぐに成仏できると考えられている浄土真宗では、必要とされていません。

浄土真宗の仏壇の選び方

浄土真宗の仏壇

浄土真宗の仏壇と言えば「金仏壇」をイメージする人が多いのではないでしょうか。

実際に仏具店などで仏壇を購入しようとすると、店員から宗派を問われ、金仏壇を勧められるケースも少なくありません。

しかし、「浄土真宗=金仏壇」という決まりはなく、好みや住まいの状況に合わせて自由に選ぶことができます。

浄土真宗の仏壇には金仏壇以外にも種類があり、他にも選択肢があると知ることから始めましょう。

仏壇の種類について

浄土真宗の仏壇には3つの種類があります。

金仏壇

金仏壇は華やかで威厳があり、存在感のある伝統的な仏壇です。

金仏壇の素材は杉やヒノキなどを使用し、漆を塗ります。

内部に金箔や金粉による装飾を施して「極楽浄土」の世界を表現しており、お寺をそのまま小さくしたような造りになっているのが特徴です。

また、浄土真宗を信仰する人にご本尊が祀られている輝かしい世界を伝えるため、金色にしたとも言われています。

金仏壇は仏壇の中でもサイズが大きめで、金箔などを多く使っているものは高額です。

モダン仏壇

最近特に注目を集めているのがモダン仏壇で、家具調仏壇とも呼ばれています。

モダン仏壇の最大の特徴は、時代のニーズに合わせてコンパクトでおしゃれなデザインが豊富なことです。

家に仏間がない、集合住宅でスペースに限りがある、リビングの雰囲気を変えたくないなどの理由から、若い世代を中心に選ばれています。

唐木仏壇

唐木仏壇は、落ち着いた雰囲気の仏壇です。

黒檀や紫檀など木目の美しい銘木を素材としており、木の温もりを感じることができます。

日本各地で製造され、東京唐木仏壇や大阪唐木仏壇など、産地によって外観や仕様が異なるのが特徴です。

仏壇のサイズやデザインについて

これまでは仏壇というと、仏間や和室に置くタイプの大きいものが主流でした。

しかし時代の変化に伴って、仏壇のサイズやデザインを自由に選べるようになっています。

本仏壇

仏壇と聞いて多くの人がイメージするのが本仏壇ではないでしょうか。

本仏壇は伝統的な仏壇で、畳や床に直置きします。

高さ130~150cm程度、幅45~55cm程度のものが一般的で、どっしりとした印象の仏壇です。

上置き仏壇

上置き仏壇はタンスや棚の上に置くタイプの仏壇で、直置きをしません。

サイズは高さ54~60cm程度、幅40~47cm程度のものが主流で、狭いスペースでも安置することが可能です。

ミニ仏壇

ミニ仏壇は上置き仏壇よりもさらにサイズの小さい仏壇で、高さ20~40cm程度、幅17~40cm程度です。

小型の家具の上にも置けるほどのサイズで、一人暮らしの部屋にも無理なく安置できるため、近年人気が高まっています。

お供えものを置くスペースがスライド式になっていたり、供養に必要な線香を保管できる引き出しがついていたりするものなどがあります。

コンパクトながらも十分な機能性を兼ね備えているのが魅力です。

宗派や菩提寺の意向を確認する

仏壇は大事なご先祖様や故人を祀って長く使うものなので、どのような仏壇を選んだらよいか自分では判断できないという人も少なくないでしょう。

また、浄土真宗は「真宗十派」と呼ばれるほど多くの宗派があり、お仏壇以外にもお祀りするご本尊や祀り方、供養に使う仏具やお供えものなどに違いがあります。

そのため、自分の家に合う仏壇選びがより難しく感じられるかもしれません。

そのような場合は、まずは自分の宗派を知ることが大切です。

はっきりと宗派がわからない場合は、親戚の人に聞いてみましょう。

また、浄土真宗には多くの末寺が在籍しています。

仏壇の選び方をはじめ、正しい供養の方法などは菩提寺のご意向を尊重するとよいでしょう。

浄土真宗の仏具の選び方

必要な仏具

必要な仏具とは?

浄土真宗では一般的に以下の仏具が必要です。

名称 意味・目的
ご本尊 信仰の対象となる仏像や掛け軸
脇侍 ご本尊の両脇に侍する仏像や掛け軸
法名軸過去帳 他の宗派では位牌にあたるもので、故人の命日・法名・享年などを記す
三具足 毎日の供養で用いるもので、香炉・燭台・花立ての総称
五具足 法要などで用いる飾りで、香炉・燭台1対・花立て1対の総称
青磁土香炉 線香を差すもの
六角供花 お菓子や果物をお供えするもの
仏飯器 ご飯をお供えするもの
おりん 梵音具(ぼんおんぐ)の一つで、りん棒でたたいて音を鳴らすもの
打敷 仏壇に飾る敷物で、浄土真宗では逆三角形のものを使う

浄土真宗の仏壇の本尊について

浄土真宗のご本尊は「阿弥陀如来」で、仏像または掛け軸のどちらを祀ってもかまいません。

ただし、掛け軸を飾る場合には注意が必要です。

本願寺派は阿弥陀如来の後光が8本差しているものを、大谷派は後光が6本差しているものを選びましょう。

浄土真宗の仏壇の脇侍について

脇侍も、本願寺派か大谷派かによって祀るものが異なります。

宗派 向かって右 向かって左
本願寺派 親鸞聖人 蓮如上人
大谷派 歸命盡十方無碍光如来(十字名號) 南無不可思議光如来(九字名號)

浄土真宗の仏壇には位牌は必要ない?

浄土真宗に位牌は不要

浄土真宗の仏壇に位牌が必要ないというのは本当なのでしょうか。

過去帳や法名軸を代わりに使用

冒頭でも紹介しましたが、浄土真宗では位牌をお祀りしません。

その理由は、浄土真宗では故人の魂はすぐに成仏すると考えられているため、位牌は必要ないとされているからです。

位牌の代わりとして、浄土真宗では「過去帳」や「法名軸」を使用して供養を行います。

浄土真宗の仏壇の飾り方

浄土真宗の仏壇は金仏壇以外でも問題ありませんが、仏壇の飾り方には決まりがあるのでしょうか。

仏壇を置く向き

浄土真宗では仏壇は東側に置き、西方に向かってお参りするのが伝統です。

これは浄土真宗のご本尊は阿弥陀如来であり、浄土は西方極楽浄土であるためです。

しかし、本来の教えでは仏様は自由自在であるため、どこからでも常に皆を見守ってくれる存在とされています。

したがって、仏壇の向きにこだわる必要はありません。

仏壇が湿気などの影響を受けないように、可能であれば明るく風通しのよい場所に置くのがおすすめです。

また、家族が集まる場所を選ぶと、ご先祖様も寂しい思いをすることがないでしょう。

その他仏具の飾り方

仏壇に飾る仏具は、ご本尊より低い位置に配置するのが基本です。

以下の手順に従って正しく飾りましょう。

  1. 最上段の中央にご本尊の阿弥陀如来を、左右に脇侍を置く
  2. ご本尊より一段低い位置に湯茶器仏器を置く
  3. その両脇に六角供花を置く
  4. 次の段は向かって左に花立て、右に過去帳見台を置く
  5. 最下段は香炉火立て線香差しりんなどを置く

浄土真宗の仏壇のお参りの仕方

浄土真宗のお参りの仕方

浄土真宗では、仏壇にお参りする際にも特別な作法があります。

おりんは鳴らさない

浄土真宗の仏壇に必要な仏具の一つにおりんがありますが、日々のお参りではおりんは鳴らしません。

おりんを鳴らすことで仏様に気付いてもらうという考えの宗派もありますが、浄土真宗では仏様は常に私たちの近くにいると考えられています。

浄土真宗におけるおりんの役割は、お坊さんが読経を行う際の始めと終わりのサインとして使用します。

したがって、家で毎日行う供養の際におりんを鳴らす必要はありません。

扉は閉めない

浄土真宗では、仏壇の扉は閉めません。

宗派によっては、葬儀などの際にご本尊やご先祖様に失礼のないように扉を閉めることがあります。

しかし、浄土真宗では「死は穢れ(けがれ)ではなく、人は亡くなると仏様になる」と考えられているため、扉を閉めません。

これは忌中であっても同様です。

仏壇はご本尊の慈悲に気付くための場であるとされており、普段通り開けておくのが浄土真宗の正しいお参りの仕方です。

浄土真宗の仏壇のお供えの仕方

浄土真宗のお供えの仕方

浄土真宗では、お供えの仕方においても他の宗派とは異なる作法があります。

仏飯

本願寺派か大谷派かによって仏飯のお供えの仕方が異なり、それぞれ以下の通りに盛り付けます。

宗派 仏飯の盛り付け方
本願寺派 蓮(はす)の花のつぼみの形にする
大谷派 蓮の実の形で円柱形にする

蓮の実は「盛糟(もっそう)」という道具を使うと簡単に成形できます。

また、後片付けの手間を省くために、仏飯を盛り付ける際は器を水で濡らしておくとよいでしょう。

ろうそく

浄土真宗では白と赤の和ろうそくが使われますが、それぞれ用途が異なります。

和ろうそくの色 用途
毎日のお参り、月命日、一周忌、三周忌までを目安とした年忌法要
七回忌以降の年忌法要、お彼岸やお盆など

お香

浄土真宗ではお線香もお供えものの一つです。

お線香のよい香りはご先祖様への感謝を伝えることができるとされており、ご先祖様からも知恵が届けられるとも言われています。

仏壇の価格について

金仏壇であれば100〜150万円、唐木仏壇であれば70〜100万円ほどが相場です。

デザインや使用している素材によって価格は変動するため、あくまでも参考程度に考えておくのがよいでしょう。

▼仏壇と仏具の価格について

まとめ

浄土真宗の供養には仏壇が必要ですが、金仏壇にこだわらず好みや住居に合うものを選んでかまいません。

しかし、位牌の代わりに過去帳が必要であったりおりんを鳴らさなかったりと、用意する仏具やお参りの仕方、お供えの仕方などには浄土真宗ならではのルールがあります。

自分1人で仏壇を選ぶのが難しいという方は、親戚の方や菩提寺などに相談しながら決めると安心です。

大切なご先祖様や故人を供養するために、浄土真宗の信仰にふさわしい仏壇を選びましょう。

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