借地権を相続するときの手続きやよくあるトラブルは!?相続税評価額の計算方法や不動産の名義変更についても解説

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「親が亡くなってはじめて実家の土地が借地だったことを知った」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

借地権を相続する際は、不動産の名義変更や相続税の申告などの手続きが必要です。

今回の記事では、借地権を相続する際の注意点のほか、起こりがちなトラブルとその
対処法についても解説します。

目次

【はじめに】借地権の基礎知識

借地上の建物_イメージ

借地権とは

借地権とは、地主などの第三者から土地を借りる権利のことを指します。

借地権の発生には、以下の3つの条件が必要です。

  • 建物の所有を目的としている
  • 土地の賃貸借契約を結んでいる
  • 適正な地代を支払っている

借地権は自己所有の建物を建てることが必須条件で、駐車場や資材置きは含まれません。

また、適正な地代の支払いが必要で、親が所有する土地を無償で借りるような場合は対象外です。

地代の目安は一般的には土地の固定資産税・都市計画税の3倍程度の金額が相当とされており、目安金額を大幅に下回る場合は、借地権が発生しない可能性があります。

借地権は2種類に分けられる

借地権には普通借地権定期借地権の2つの種類があります。

種類 名称 契約期間 更新
普通借地権 新借地権 30年以上 20年以上(2回目以降は10年以上)
定期借地権 一般定期借地権 50年以上 なし
事業用定期借地権 10年以上50年未満
建物譲渡特約付借地 30年以上

普通借地権

普通借地権は契約期間を30年以上とし、更新においては初回が20年、2回目以降を10年以上と定めています。

契約期間は、地主との合意があれば、より長い期間を定めることも可能です。

普通借地権は契約を更新し続ける限り、永久的に建物に住むことができる権利と言えるでしょう。

定期借地権

定期借地権は契約期間を経過した時点で土地を更地の状態にし、地主に返還しなくてはいけません。

また、定期借地権には一般定期借地権事業用定期借地権建物譲渡特約付借地の3種類があります。

事業用定期借地権は事業用建物の所有を目的としていることが条件で、建物譲渡特約付借地権は契約満了の際に地主が建物を買い取ることを前提とした権利です。

定期借地権は普通借地権と違い、いずれ土地を返却する点が最大の特徴と言えます。

所有権との違いは何?

借地権が土地を借りる権利である一方、所有権は土地を所有する権利です。

借地権者と所有権者が行えることには、以下のような違いがあります。

借地権者 所有権者
土地の売買 ×
土地の賃貸 △(地主の承諾があれば可能)
土地の管理
土地の利用

借地権者はあくまでも土地を借りているだけなので、土地の売買などを行うことはできません。

旧借地権と新借地権の違い

借地権には新借地権と旧借地権があり、旧借地権は先述した新借地権より以前からある借地権のことです。

旧借地権は契約期間が30年(非堅固20年)、更新が30年(非堅固20年)と定められており、1992年以前の借地で適用されています。

1992年以前の契約においては、新たに新借地権による契約を結び直す必要があるため、現在でも旧借地権による契約が多く残っています。

借地と間違いやすいので注意!底地とは?

底地とは、借地権が発生している土地そのものを意味します。

借地は土地を借りること、一方の底地は土地を貸すことです。

つまり底地権とは、地主のように土地を貸す人がもつ権利にあたります。

借地権を相続する際はココに注意!

借地権相続の注意点

借地権の相続に地主の承諾は不要

借地権の相続に地主の承諾は不要です。

まれに地主から名義書換料を請求される場合がありますが、対応義務はなく、通常通りに相続ができます。

遺贈による借地権の相続は地主の許可と承諾料が必要

借地権を遺贈によって相続する場合は、地主の許可が必要です。

遺贈とは、遺言書に基づいて法定相続人以外が遺産を相続することで、借地権を遺贈する場合には必要な手続きを踏まなくてはなりません。

遺贈手続きの流れ

借地権の遺贈に必要な手続きは、以下の2つです。

手続き 内容
承諾の請求 内容証明郵便などで地主に対して賃借権の遺贈がある旨を知らせ、承諾請求を行う
承諾 地主から承諾を得られた場合は遺贈可能となる

承諾料の相場

承諾料は借地権価格の10%程度が相場です。

ただし、相場はあくまでも目安に過ぎないため、地主と相談のうえで決定しましょう。

地主の承諾が得られなかった場合

もし地主の承諾が得られなかった場合は、裁判所に申請して遺贈の許可を出してもらいます。

裁判所の承諾が得られれば、地主の承諾がなくても借地権の移転手続きを進めることが可能です。

借地権は地主の許可があれば売却も可能

借地権は売却が可能ですが、2つの条件があります。

1つは地主の許可を得ること、もう1つは名義変更料を支払うことです。

たとえば相続した実家の建物を売却する場合、借地権を新しい買主に移すための許可を、地主に得る必要があります。

なお、売却に伴って支払う名義変更料は、借地権価格の10%程度が相場です。

地主が亡くなってしまった場合はどうなる?

地主が亡くなってしまった場合でも、借地権や契約内容に影響はありません。

というのも、地主側も相続人が貸主としての地位を継承するためです。

借地権を相続する際の「対抗要件」とは?

借地権をめぐるトラブルで多いのが、地主が土地を第三者に売却するケースです。

この場合、借地権をもっていても新たな地主からその土地を出て行くように言われた場合は、立ち退かなくてはなりません。

このような事態に備えるのが対抗要件で、以下の2つの要件を満たすことで借地権を守ることができます。

  • 建物に借地人の登記がなされていること
  • 借地上に建物が存在していること

通常、借地権の登記を行うのはまれですが、もしもの場合に備えて登記しておくと、新しい地主に対抗できます。

また、火事などによって建物が消失してしまった場合は、対抗できなくなることがあります。

しかし、建物が消失してから2年間、建物を特定するために必要となる事項と新たに建物を建築する旨を借地上に掲示すれば、対抗することが可能です。

借地権の相続手続きについて理解しよう

借地権相続の手続き

【借地権の相続手続きを始める前に】確認すべきこと

借地権の相続手続きを行う前に確認しておくべきことは、2つあります。

登記簿と契約書

まずは、借地権のある土地を管轄する法務局に行き、登記簿謄本を確認しましょう。

借地権は登記されていないことがほとんどですが、相続の場合は相続登記が必要です。

もし、借地に建つ建物が先代名義の場合は、必ず新しい所有者の名義に変更しましょう。

名義変更をしなければ自分の借地権であることを主張するのが難しく、借地権を保有できなくなる可能性があります。

また、登記簿と併せて契約書も確認しましょう。

旧借地法で契約した借地権には契約書の作成義務がないため、1992年8月以前の契約については、契約書が確認できないかもしれません。

契約書がない場合は地主側と連絡をとり、契約内容を改めて確認してください。

契約書がある場合は、契約期間の有無と契約期間、更新時期の2点を確認することが大切です。

毎月の地代

借地権は毎月の地代を支払うことによって権利を維持できます。

契約書がない場合でも毎月の地代を正確に把握しましょう。

地代を確認する方法には以下のようなものがあります。

  • 通帳からの引き落としの履歴
  • 領収書
  • 覚書 など

借地権の契約期間が長い場合、相続のタイミングで地代を見直す必要があるかもしれません。

最近では、路線価や固定資産税などの公租公課に基づいて地代が設定されています。

現在の地代が適切かどうかを改めて確認し、双方にとってフェアな借地契約となるように話し合いましょう。

借地上の建物の名義変更(相続登記)をすれば、借地権の名義変更は不要

借地上の建物の名義を変更すれば、借地権の名義変更をする必要はありません。

この場合は、地主に一言、相続によって借地権を取得した旨を伝えておくと安心です。

ただし、借地権が登記されている場合は借地権の名義変更が必要となるので、注意しましょう。

名義変更(相続登記)の手続きについて

不動産の名義変更(相続登記)は、2024年から義務化されます。

正当な理由なく相続登記の申請をしなかった場合は、10万円以下の罰則の対象となるため、必ず手続きを行いましょう。

相続登記に必要な書類や手続きの流れについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

相続登記に必要な書類と手続きの流れについて

借地権にかかる相続税の計算方法

相続税の計算方法_イメージ

借地権として評価するかどうかの判断ポイント

借地権として評価するかどうかの主なポイントは、以下の2つです。

  • 建物を建てて所有していること
  • 無償による土地の利用ではないこと

建物を所有せず、駐車場や資材置き場などとして更地のまま使用する場合は借地権には該当しません。

また、地代を支払っていない、支払っていても固定資産税以下の場合は借地権とはみなされないことがあります。

さらに、借地権として評価するかどうかの判断ポイントは他にもあります。

  • 適正な金額の地代を支払っている
  • 権利金を支払っている
  • 地主は個人か法人か
  • 地主が法人の場合、「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出している

これらのポイントから総合的に判断し、借地権として評価するかどうかが決まります。

借地権の評価方法

借地権の評価方法にはいくつかの種類があります。

【評価額の計算に必要!】借地権割合の調べ方

借地権割合とは、その土地(更地)の権利のうち借地が占める割合を示した値のことで、借地権の評価額を調べる際に必要となるものです。

借地権割合の調べ方には路線価方式倍率方式の2つの方法があります。

路線価方式は路線価を用いて土地の評価を行うもので、国税庁のウェブサイト内にある「財産評価基準、路線価図・評価倍率表」で確認できます。

路線価方式では1m²あたりの路線価と、地権割合を数字とアルファベットを組み合わせた値で算出します。

なお、この路線価方式は市街地で使用するのが一般的です。

また、路線価が設定されない地域においては、倍率方式を採用します。

倍率方式も、国税庁のウェブサイト内にある「財産評価基準、路線価図・評価倍率表」を参考にして算出します。

倍率方式の計算式は以下の通りです。

自用地(更地)価額=固定資産税評価額×倍率

普通借地権の評価方法

普通借地権の計算式は以下の通りで、自用地価格と借地権割合がわかっていれば算出できます。

借地権の評価額=自用地(更地)価額×借地権割合

定期借地権の評価方法

定期借地権は、相続が開始した時点で借地権者に帰属する経済的利益と借地権の存続期間に基づいて算出されます。

定期借地権の計算式は以下の通りです。

定期借地権の評価額=自用地評価額 ×(1-底地割合(※1))×A(※2)

※1 定期借地権が設定された時点の底地割合
※2 課税時期の定期借地権の残存期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率÷定期借地権の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率

また、課税上の弊害がない場合は、以下の計算式でも算出できます。

定期借地権等の評価額=自用地評価額×A(※1)×B(※2)

※1 定期借地権等の設定時の借地権者に帰属する経済的利益の総額÷定期借地権等の設定時における宅地の通常取引価額
※2 課税時期の定期借地権等の残存年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率÷定期借地権等の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率

一時使用目的の借地権の評価方法

一時使用目的の借地権の場合は、雑種地の賃借権の評価方法が使用されます。

賃借権の種類 評価の方法
地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権 雑種地の自用地評価額×A(※1)

※1 法定地上権割合と借地権割合とのいずれか低い割合

上記以外の賃借権 雑種地の自用地としての価額×法定地上権割合×1/2

法定地上権割合は、残存期間が10年以下なら5%、50年以上なら90%というように期間によって割合が変化するので必ず確認しましょう。

一戸建て住宅に利用される一般定期借地権の評価方法

一戸建て住宅に利用される一般定期借地権は契約期間が50年以上と長いため、評価額が下がる仕組みになっています。

一般定期借地権の計算式は以下の通りです。

一般定期借地権の評価額=自用地の評価額-一般定期借地権の価額に相当する金額(※1)

※1 自用地の評価額×(100%-底地割合)×相続開始時の一般定期借地権の残りの期間に応じた基準年利率による複利年金現価率×一般定期借地権を設定した期間に応じた基準年利率による複利年金現価率

課税上の弊害がある場合の評価方法

一般定期借地権の借地権者と借地権設定者が親族間など特殊な関係の場合は、課税上の弊害があるとみなされます。

このようなケースでは、通常の一般定期借地権の方法ではなく「財産評価基本通達の定め」に従って評価します。

これに該当する借地権を保有する方は、国税庁が公表する「定期借地権等の評価明細書」を使用して評価することが可能です。

評価方法は複数あり、素人には算出が難しいので専門家への相談も検討しましょう。

借地権を相続したあとに気を付けるべきポイント

相続後に気をつけるポイント

火事などで借地上の建物がなくなると借地権も消滅する

建物が火事や地震などの災害で消失した場合、そのまま放置しておくと借地権が消滅します。

借地権は建物を所有することで発生する権利であり、建物がなければ対抗要件が存在しないとみなされてしまうのです。

建物を消失した場合に借地権を維持するためには、以下の2点を実行する必要があります。

  • 消滅前に存在した建物を特定するために必要な事項を提示する
  • 新築の建物を建築する、または売却する旨を提示する(消失から2年以内)

借地権には更新料が必要

契約期間が満了に近づくと、地主は更新契約と併せて更新料を請求します。

更新料は必ずしも支払う必要はありませんが、地主との関係を円満に保つためには、支払っておいたほうがよいでしょう。

というのも、更新料には地代を補填する役割があるためです。

今後も継続してその土地に住み続ける意思がある場合は、更新料の必要性を理解し、地主と相談のうえで更新料を設定しましょう。

なお、借地権の更新料の相場は、以下の計算式で求めることができます。

更新料=更地価格×借地権割合×5~10%

地主の承諾が必要な場合もある

地権の相続で地主の承諾が必要になるケースは、以下の通りです。

  •  地主の建物の建て替え
  • 借地権付き建物の売却
  • 借地の転貸

借主が底地を買い取る選択肢もある

借地権を相続したあと、地主から底地を買い取ることを検討してもよいでしょう。

借地権は底地とセットになることで完全所有権の土地となり、資産価値が上がります。

また、底地を買い取ることで借地権の縛りから解放され、建て替えなどを自由に行うことが可能です。

兄弟姉妹での共同相続はトラブルになりかねない

兄弟姉妹で借地権を共同相続するなど、借地権を相続する人が複数いると、権利関係が複雑化しやすく大きなトラブルになりかねません。

また、共同相続は地主の方にとっても負担が大きく、受け入れてもらえないこともあります。

借地権は可能な限り1人で相続する方向で検討しましょう。

必読!借地権の相続でよくあるトラブルと対処法

借地権の相続トラブル

地主とのトラブルと対処法

地主との間で起こりやすい6つのトラブル事例を紹介します。

名義変更料や承諾料を要求される

相続の際に、地主から名義変更料や承諾料を請求されることがあります。

この場合の地主の言い分は「土地を貸したのは親(被相続人)であって、子ども(相続人)ではない」というものです。

借地権の相続に地主の承諾は必要なく、相続人に名義変更料や承諾料の法的支払い義務はありませんが、相続後も地主と良好な関係を保つためには、支払うことも検討するとよいでしょう。

立ち退きを要求される

地主から立ち退きを要求されても応じる必要はありません。

繰り返しになりますが、借地権の相続に地主の承諾は必要ないことが理由です。

地主から理不尽な要求が行われるような場合は毅然(きぜん)と対応し、それでも収まらない場合は警察や弁護士に相談しましょう。

地代の値上げを要求される

相続のタイミングで地代の値上げを要求される場合があります。

しかし、相続では従来の契約内容で借地権を引き継ぐため、原則として値上げの要求に応じる必要はありません。

ただし、値上げの目的が地価の上昇や周辺賃料相場に合わせるということであれば、地代を見直す必要があるでしょう。

値上げの正当な理由があるにもかかわらずそれに応じない場合、地主は「地代等増減請求権」を行使して地代を強制的に値上げもできます。

このような事態に発展すると、地主との関係に悪影響を及ぼしかねないため、誠実に対応することが大切です。

建物の建て替えを承諾してもらえない

相続のタイミングで建て替えるケースも少なくありませんが、地主の承諾を得られない可能性があります。

これは、借地契約の特例で「建て替えや増改築の際には、地主の承諾を取得しなくてはならない」という内容が含まれていることが原因です。

まずは借地契約の内容を確認し、もし特約が定められている場合は地主の承諾を得る必要があります。

承諾を得られない場合は地主と交渉し、承諾料などを決定して建物の建て替えを認めてもらいましょう。

建物の売却を拒否される

借地上の建物を売却する場合、借地権もセットで譲ることになるでしょう。

もしも借地権が地上権であれば、地主の承諾は必要ないため、売却可能です。

しかし、借地権が賃借権であれば売却には地主の承諾を得る必要があります。

建物の売却を拒否された場合は、承諾料などによる地主との交渉が必要不可欠です。

借地契約の更新を拒否される

契約期間満了のタイミングで、地主から借地契約の更新を拒まれるケースも珍しくありません。

しかし、借地借家法6条に「地主が借地契約の更新を拒絶するためには正当な事由がなくてはならない」と定められています。

この「正当の事由」は厳正に判断されるため、よほどの理由がなければ更新を拒否されることはないと考えてよいでしょう。

相続人同士のトラブルと対処法

借地権の相続トラブルは、地主との間だけで起こるものではありません。

相続人同士で起こりやすい3つのトラブルについても、確認しておきましょう。

借地権付き建物を誰が相続するかで揉める

借地権付き建物は資産としての価値が高く、誰が相続するかでトラブルになりがちです。

相続人同士で遺産分割問題が解決できない場合は、遺産分割調停・審判による法的な解決をおすすめします。

借地権の評価方法に合意できない

借地権付き建物を相続する人が決まっても、借地権の評価方法をめぐってトラブルになる場合があります。

他の相続人に対して代償金を払う場合などに起こりやすく、借地権の評価方法が統一されていないことが原因です。

解決策の一例として、不動産業者による査定価格を参考にする方法があります。

また、話し合いを重ねても問題が解決できない場合は、遺産分割調停・審判を利用するのがよいでしょう。

借地権の共有者同士が揉める

借地権付き建物を共有状態とした場合、以下のようなトラブルが起こりがちです。

  • 地代や税金の負担分を支払わない相続人が出る
  • 建て替えや売却などで意見が食い違う
  • 自分以外の相続人から共有物分割請求を受ける

大きなトラブルに発展しかねないため、借地権付き建物を共有状態にすることはおすすめしません。

相続人同士の関係を悪化させないためには、早めに弁護士などの専門家に相談しましょう。

借地権の相続が難しい場合はどうする?

借地権の相続が難しい場合の対処法

売却する

借地権を相続しない場合は、売却することも可能です。

売却には3つの方法があります。

地主と協力して売却

借地権を売却する場合に最もおすすめなのは、地主と協力して売却する方法です。

先述した通り、借地権は底地とセットになることで完全所有権の土地となり、資産価値が高まります。

また、借地上に建物が建っていればその分も上乗せして売却できるため、より高値での取引が期待できるでしょう。

その一方で、借地権だけを売却すると買い手が見つかりにくく、売却金額も下がってしまいます。

借地権の売却を考えている場合は、まずは地主に相談するのが賢い選択と言えるでしょう。

不動産売買で売却

借地権の売買を行う不動産会社に、直接借地権を売却することも可能です。

この方法のメリットには以下のようなものがあります。

  • 売却までに時間がかからない
  • 不動産会社が買い取ってくれるので、手間がかからない
  • 不動産会社が買い手となるので、地主との交渉をすべて任せることができる
  • 不動産会社によっては、未測量の借地権でも買い取ってくれる
  • 不動産会社によっては瑕疵(かし)担保免責を課さない

売買仲介で売却する

売買仲介によって借地権を売却する方法もあります。

この場合、不動産会社を仲介して第三者に借地権を売却します。

立地がよく建物も新しいなどの好条件であれば、スムーズに売却できるでしょう。

しかし、一般的に借地権付き建物は買い手が見つかりにくいのが現状です。

売買仲介による売却は、借地権者にとってデメリットが多いので、確認しておきましょう。

  • 買い手が見つかりにくく、販売期間が長くなる
  • 不動産会社に仲介手数料を支払う必要がある
  • 仲介手数料と別に、地主との交渉費用がかかるケースがある
  • 借地権付き建物は再販しにくいので、売却価格が安くなりやすい

相続放棄をする人が増えている!?

借地権は遺産の一つですが、最近では相続を放棄する人が増えているようです。

借地権を相続放棄する人が増えている理由

借地権を相続放棄する最も大きな理由は、費用の負担が大きいことです。

借地権の維持にかかる費用には以下のようなものが挙げられます。

  • 相続税
  • 地代
  • 固定資産税・都市計画税
  • 建物のメンテナンス費用や解体費用

この他にも、契約内容などによっては更新料名義書換料などがかかることもあります。

その土地にどうしても建物を保有したいという強い思いがなければ、借地権を放棄してしまうのも無理はありません。

借地権を相続放棄する流れ

借地権を相続放棄する場合は、手続きが必要です。

家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出し、受理してもらうことで相続放棄ができます。

ただし、相続放棄をする場合はすべての遺産を放棄しなくてはなりません。

自分にとって必要のない借地権だけを放棄し、預金などは相続するという都合のよい相続はできないため、熟慮したうえで相続放棄するかどうかを決定しましょう。

借地権を相続放棄するときは更地にする必要はない!

相続放棄をすると地代の支払いなど、借地権に付随する一切の義務が放棄されます。

期間満了後の更地返還の義務」も放棄できるので、更地にして返還する必要もありません。

借地権を相続放棄するメリットとデメリット

借地権の相続放棄を検討している場合は、メリットとデメリットを比較しましょう。

メリット
  • 費用の負担がない
  • 建物の管理が不要
  • 地主や相続人同士のトラブルを回避できる
デメリット
  • 遺産の一切を継承できない
  • 売却や賃貸などの土地活用ができない
  • 3か月以内に相続放棄を決める必要がある

賃貸に転用する

借地権付き建物は賃貸に転用することも可能です。

この行為は無断転載には当たらないため、地主の承諾を得なくても賃貸できます。

賃貸できれば家賃収入によって地代の支払いなどをまかなうこともできるので、いずれまたその建物に住む予定がある場合などは、賃貸を検討してみるとよいでしょう。

また、賃貸をする際は普通借家契約定期借家契約のいずれかを選択します。

普通借家契約は、貸主から一方的に契約を破棄したり更新を拒否したりすることができないので、注意が必要です。

更新時期が迫っている場合は更新をしない

借地権の契約満了まであとわずかであれば、満了のタイミングで契約を終了することも可能です。

この場合、契約満了を迎えるまでは誰かが相続する必要がありますが、更新時に契約しなければ借地権を手放すことができます。

地主に借地権を買い取ってもらう方法もある

借地契約を更新しない場合は、建物買取請求権を行使することも可能です。

これは、地主に借地上の建物を買い取ってもらう権利のことで、金銭面での交渉が必要とします。

ただし、交渉がスムーズに進まないことがほとんどなので、専門家に相談する案件と言えるでしょう。

借地権の相続についてのご相談は株式会社林商会にお任せください

ここまで、借地権の相続についてご説明してきました。

借地権の相続には名義変更や相続税の申告などの手続きが必要なほか、トラブルも起きがちです。

また、専門知識も必要なため、専門家に依頼することをおすすめします。

相続の専門家集団である林商会では、司法書士・税理士・弁護士など相続の専門家がお悩みに丁寧に寄り添い、最善の解決策をご提案します。

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まとめ

借地権の相続は地主の承諾や承諾が必要となる場合があり、手続きも複雑です。

また、評価方法などをめぐってトラブルになるケースも多いので、相続人にとっては大きな負担となるでしょう。

しかし、安易に相続放棄をしてしまえばすべての遺産を引き継げなくなってしまうので、注意が必要です。

借地権の相続に詳しい人が身近にいなければ、専門家に相談することをおすすめします。

最善の相続方法をプロの目線で提案・アドバイスしてくれることはもちろん、地主との交渉を代行してくれるため、相続の不安から解消されるでしょう。

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